配慮は絶対にしてもらえるものなか?

「障害者雇用で入ったのに配慮してもらえない。これはおかしい」という方に時々出会います。
私も当事者なので、同じように思ったこともあります。
では、これは本当におかしいことなのでしょうか??

今回はそんな「配慮は絶対にしてもらえるか」について語っていこうと思います。

Contents

企業によってできる配慮には差がある

早速結論ですが、答えは「No」です。

まず、知っておいていただきたいのは、同じ障害、同じ特性であっても配慮するかどうか(正確には配慮できるかどうか)は、企業によって変わるということです。

これは別に企業が障害者に配慮する気持ちがあるかないかという問題ではありません。

 

お金の問題がある

企業によって人件費や設備に使える費用は違っています。そのため、どんなに配慮したくてもそのために必要なお金が捻出できず、配慮できない場合もあります。そのため、同じ障害、同じ特性であっても配慮してもらえる内容は企業によって変わります

例えば、特性上周りに動くものがあると集中できないという人が自分のために新たに個室を作て欲しいと企業に配慮をお願いしたとします。

しかし、企業の経営上そこまでの金銭的な余裕がなければ、配慮は難しいでしょう。

上司も人間

上司も人間です。自分が辛かったり落ち込んでいると愛する人にさえ感情的になったり、酷いことを言ってしまうこともあるでしょう。それが人というものです。

愛する人にさえ気を配れない状態の人が、職場の人に配慮できる余裕があるでしょうか?答えはNoです。
そして人によっては、余裕がないと感情的になる人もいます。会社の指示がどうであれ自分の感情を抑えることができない人もいるのです。

そんな人に「感傷的に指摘をしないでください」と言っても、常に配慮してもらえるかは微妙でしょう。

では、どうすれば良いのでしょうか?次の段落ではそれについて触れようと思います。

大切なのことは、配慮に期待し過ぎないこと

配慮はされるべきですし、配慮は企業の義務です。しかし、その配慮はあくまでも『合理的』配慮なのです。

なので私は
「障害当事者はそれに甘えない方が良い、期待し過ぎない方が良い」と考えています

それは先述した通り、会社の規模やお金、人によって配慮が受けられる程度が変わるからです。

そんな不確定要素に身を委ねているということは、自分の状態が常に不安定であるということです。そんな状態で安定して働くことができると思いますか?私はできないと思っています。

だから、配慮に期待し過ぎず、できるだけ自分で対処する術を身につけていくことが大切だと考えています。

配慮への依存度が低ければ低いほど、自分で自分の状況をコントロールできているということになります。それはつまり安定した生活になる確率が上がるということでもあります。

まずは自分でやれることをやる

まずは自分の特性を把握し、ある程度自分で対処できるようになることが大切です。

しかし自分がどんなに努力しても、配慮してもらわないと働けないという部分はあると思います。そこは配慮をお願いしても構いません。

このように、自分でやれる対処をし、少しでも企業にお願いする配慮の量や企業側の負担を減らしつつ、配慮をお願いすることが、働き続ける上で重要だと思います。

配慮が減ると就活でも有利

「障害者雇用で働いているのに、配慮を受けられるかどうかわからないから、自分で対処しないといけないなんて納得できない」という人もいるでしょう。お気持ちはわかります。その通りです。

しかし、自分で特性に対処できる(理想は、自分で特性への対処策が完結する)ということは、障害者雇用においては、かなり有利に働きます。

配慮事項が多いというのは企業において負担になることです。配慮ができるだけ少なく、自分達がして欲しい仕事を確実にしてくれる人を企業は望んでいます

そのため、配慮事項が少ないということは企業側のニーズを満たしており、より自分が採用される確率が上がることになります。
自分が望む求人に採用されるメリットもあるなら、自分のできる範囲で自分で特性への対処策を考えて身につけていくことも悪くないと私は思います。

就職時の話し合いも超重要

もう一つ「障害者雇用で入ったのに配慮してもらえない。これはおかしい」という不満を持たないために大切なことがあります。

それは企業との就職面接や採用後の面談で、自分の特性と配慮をしっかりと話し合うことです。

その面談で、企業が「具体的にどんな配慮をしてくれるのか?」を明確にすると同時に、当事者は「ここまでは自分が頑張る」ということを共有し、両者同意をしておくことで、「障害者雇用で入ったのに配慮してもらえない。これはおかしい」と不満を持つことが減るでしょう。そして企業側も配慮が明確になるため配慮しやすくなるので、対応してくれる可能性が上がります。

ここで重要になってくるのが、自分の障害特性の理解です。働き出してから「やっぱりここも配慮してください」という部分が出てくると、経験上、当事者は後ろめたさがあり、言い出しづらいです。企業側も「後から言われても」と困ってしまうこともあります。
こういうケースはよくありますが、この場合は配慮してもらえないことがあっても強く出られないことも多々あるので、事前に自分の特性を理解しておくことが重要になってくると思います。

まとめ

この記事のまとめになりますが、

1大切なのは、まずは企業側にお願いする配慮を減らすために自分で対処できることはする。
2その上で配慮が必要なことは就職時に伝える。

この2点です。

この2点を徹底しておくと「自分がやるべきこと」「責任の所在」が明確になり、不満や不信感がなくなります。

最後に

今回は「配慮は絶対にしてもらえるか?」という疑問への回答と、当事者側の対処について話してみました。

結論だけ言うと「自分の特性を把握して配慮事項をちゃんと伝えて、自分と企業で同じ認識を持ちましょう」ということになります。

これを1人でやることが難しいという人もいるでしょう。そういう方は福祉サービスを利用する手段もあります。

就労移行支援や就労定着支援、相談支援事業など色々な福祉サービスが、自分の特性理解や配慮事項の整理のための支援をしています。それらを利用することで、自分の負担を減らしつつ、より客観的に自分の特性と配慮事項を理解することができると思います。

なにはともあれ、この記事を読んで下さった方が、どのような方法でも良いので、まずは自分の特性を理解し企業と共有し、不満なく配慮ある中で自分の力を発揮できればと思います。

この記事が少しでも誰かの役に立てば幸いです。